墓じまいでは、墓石を撤去して更地に戻す作業(解体工事)を、石材店や解体業者に依頼することになります。「頼む相手に、何か資格は必要ないのだろうか」と気になる方もいるでしょう。実は、解体工事を営む事業者には、法律上、建設業許可か解体工事業登録のどちらかが必要とされています。条文にもとづいて、その仕組みを整理します。
解体工事を営むには、2つの資格のどちらかが必要
解体工事を行う事業者は、工事1件の請負金額によって、次のどちらかの資格を持つことになっています。
- 建設業許可(解体工事業)/請負金額が500万円以上(建物をまるごと建てる「建築一式工事」は1500万円以上)の場合。建設業法にもとづく都道府県知事または国土交通大臣の許可。
- 解体工事業登録/請負金額が500万円未満で、建設業許可を持たない場合。建設リサイクル法にもとづく都道府県知事への登録で、5年ごとの更新が必要。
建設業法施行令は、許可が不要になる「軽微な建設工事」の基準を、次のように定めています。
「法第三条第一項ただし書の政令で定める軽微な建設工事は、工事一件の請負代金の額が五百万円(当該建設工事が建築一式工事である場合にあつては、千五百万円)に満たない工事……とする。」
つまり、この金額以上の工事を請け負うには、建設業法第3条の建設業許可が必要になります。一方、これに満たない工事だけを行い、建設業許可を持たない事業者については、建設リサイクル法第21条第1項が次のように定めています。
「解体工事業を営もうとする者(建設業法別表第一の下欄に掲げる土木工事業、建築工事業又は解体工事業に係る同法第三条第一項の許可を受けた者を除く。)は、当該業を行おうとする区域を管轄する都道府県知事の登録を受けなければならない。」
つまり、建設業許可を持っている事業者は登録が不要になりますが、持っていない事業者は、たとえ小規模な工事だけを行う場合でも、都道府県知事の登録を受ける必要がある、という条文の組み立てです。
墓じまいの解体工事にも、この考え方があてはまる
墓じまいで墓石を撤去する作業は、規模としては小規模なケースが多いと考えられますが、法律上「解体工事」に該当する以上、この2つの資格のどちらかが必要になる、という考え方自体は変わりません。石材店・解体業者に墓石の撤去を依頼する際、この事業者が建設業許可(解体工事業等)または解体工事業登録のどちらを持っているかは、契約前に確認しておける視点のひとつです。
ただし、墓石の撤去作業の実態が個々のケースでどこまで「建設工事」の定義にあたるか、実務上どう扱われているかについては、今回確認した条文だけでは判断できません。「石材店は必ずこの許可・登録を持たねばならない」と一律に断定できるものではなく、あくまで解体工事を営む事業者一般に課された法律上の枠組みとして紹介しています。
確認する方法
建設業許可を受けている事業者は、国土交通省の「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」で確認できます。解体工事業登録は都道府県ごとに管理されているため、工事を行う都道府県庁の担当窓口(建設業課など)に確認する方法があります。契約前に、事業者へ直接「許可証・登録通知書を見せてもらえますか」と尋ねることもできます。
業者選びで確認しておきたい役割分担や、業者に任せられる範囲・自分で行う範囲の考え方は、記事「墓じまい業者に頼めること・自分で決めること」で整理しています。
次に確認すること
- 依頼を検討している石材店・解体業者に、建設業許可または解体工事業登録の有無を確認する。
- 建設業許可を確認する場合は、国土交通省の企業情報検索システムを利用する。
- 解体工事業登録を確認する場合は、工事を行う都道府県庁の担当窓口に問い合わせる。
まとめ
解体工事を営む事業者は、請負金額が500万円以上(建築一式工事は1500万円以上)であれば建設業許可、それ未満で建設業許可を持たない場合は解体工事業登録のどちらかを、法律上持つ必要があります。墓じまいで墓石の撤去を依頼する際も、この2つの資格のどちらを持っているかを確認しておくと、事業者選びの手がかりのひとつになります。
相談や資料請求の前に整理しておくことは、トップページの「今日できること」にまとめています。
この記事は一般的な情報の整理です。個々の工事が建設業許可・解体工事業登録のどちらの対象になるか、事業者が適正な資格を有しているかについての個別の判断は、国土交通省または各都道府県の担当窓口にご確認ください。出典:建設業法施行令第一条の二、建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法)第21条(e-Gov 法令API で条文を取得。2026-09-29 確認)。最終確認日:2026-09-29。
