実家のお墓が遠方にあると、「改葬許可の手続きを、名義人である親の代わりに自分が進めてもいいのか」「窓口に行けないので、業者や石材店に任せてしまいたい」という場面が出てきます。ここで整理しておきたいのは、『誰が申請者になれるか』と『申請者本人でない人が窓口で手続きしてよいか』は別の話だということです。この記事では、後者――代理での手続きと委任状について、複数の自治体の案内をもとに整理します。
「申請者になれる人」と「窓口で手続きする人」は別の話
改葬許可申請の添付書類は、墓地、埋葬等に関する法律施行規則で決まっています。申請者がお墓の名義人(墓地使用者等)でない場合は、名義人の承諾書が必要です(詳しくは記事「改葬許可証とは?遠方でも進める行政手続きの整理」)。これは「誰が申請者になるか」の話です。
これとは別に、申請者本人ではなく、家族や業者・石材店が窓口へ書類を持っていく(代行する)場合があります。こちらは「委任状」という、また別の書類が関わってきます。この2つを混同すると、「委任状さえあれば承諾書はいらない」「承諾書があれば誰が窓口に行ってもよい」といった誤解につながるので、分けて考えます。
代理人が窓口で手続きする場合、委任状を求める自治体がある
委任状の要否や様式は、法律で全国一律に決まっているわけではありません。ただし、実際に複数の自治体の案内を確認すると、代理での手続きに委任状を求める運用が見られます。
- 京都市:墓地使用者の代理人が改葬許可申請を代行する場合は委任状が必要、としています。これは「墓地使用者以外が申請者となる場合に必要な承諾書」とは別のものとして案内されています。窓口では、本人確認と代理人の資格確認が行われます。
- 大阪市(旭区):代行業者や石材店が手続きを代行するときは、正当な申請者からの委任状が必要、としています。家族に限らず、業者・石材店が窓口対応を代行する場合も委任状の対象になる例です。郵送で申請する場合は、申請者の本人確認書類のコピーを同封する運用もあります。
- 福井市:改葬を行おうとする人と申請者が異なる場合は、その人からの委任状を持参するよう案内しています。
3市に共通するのは「代理人が窓口で手続きする場合は委任状を求める」という運用です。ただし、必要書類の細部(本人確認書類の種類、郵送時の扱いなど)は自治体ごとに異なります。現在お墓がある市区町村に、代理での申請が可能か、委任状の様式があるかを確認してください。
業者・石材店に窓口対応を任せる場合も同じ論点がある
「改葬許可の申請くらいは業者に全部任せたい」と考える方もいます。ただし、業者が代行できる範囲には限りがあります。行政書類の作成そのものを業として行えるのは行政書士で、一般の墓じまい業者・石材店ができるのは、案内や窓口への持参までのサポートが基本です。窓口対応を代行してもらう場合も、委任状の準備が必要になることがある点は、家族が代行する場合と同じです。業者に任せられること・自分で決めることの全体像は、記事「墓じまい業者に頼めること・自分で決めること」で整理しています。
委任状を用意するときに気をつけること
- 委任状は、実際に改葬を行う本人(委任者)が記入するものです。福井市の案内では「委任状の修正は代理人ではできません」ともされています。記入ミスがあると、代理人が窓口でその場で直せない場合があるため、事前に内容をよく確認してから記入してもらいましょう。
- 委任者・代理人それぞれの本人確認書類を求められることが多いです。郵送の場合はコピーの同封を求める自治体もあります。
- 委任状の様式は、自治体が指定のフォーマットを用意している場合があります。まず窓口やホームページで確認してください。
親自身がお墓の名義人で、まだ体調や意思がはっきりしているうちに進める場合は、まず親の意向を確認するところから始めます。何から整理すればよいかは、記事「一人っ子で墓じまいを進める人が気をつけること」でも、法律で必要なことと管理者ごとのルールを分けて説明しています。
次に確認すること
- 現在お墓がある市区町村に、代理人による改葬許可申請が可能か、委任状の様式があるかを問い合わせる。
- 申請者が誰になるか(お墓の名義人本人か、それ以外か)を確認する。名義人でない場合は承諾書が必要です(→ 記事「改葬許可証とは?」)。
- 業者・石材店に窓口対応を任せたい場合は、委任状の準備を含めてどこまで代行してもらえるかを確認する。
- 委任状は、実際に改葬を行う本人に正確に記入・署名してもらう。誤りがあれば、代理人ではその場で訂正できない場合があります。
まとめ
改葬許可の手続きで「誰が申請者になれるか」と「申請者本人でない人が窓口で手続きしてよいか」は別の話です。申請者が名義人でない場合は名義人の承諾書が必要で、これとは別に、家族や業者・石材店が窓口を代行する場合は委任状を求める自治体があります(京都市・大阪市・福井市で確認)。委任状は本人が記入するもので、記入ミスは代理人が現地で直せないことがあります。様式・要否は自治体ごとに違うため、まず現在お墓がある市区町村に確認してください。
窓口とのやり取りや委任状の準備までどこまで任せられるか——墓じまいサービスを比較する
この記事は一般的な情報の整理です。代理申請の可否・委任状の様式・必要書類は市区町村によって異なります。実際に進める際は、現在お墓がある市区町村の窓口へ必ずご確認ください。出典:墓地、埋葬等に関する法律施行規則(厚生労働省)、京都市・大阪市(旭区)・福井市の改葬許可申請の案内(いずれも2026-09-24確認)。最終確認日:2026-09-24。
